退屈な夜長に御伽噺をどうぞ

未来の小説家が、退屈を紛らわせるような小説を書いています!

夢幻鉄道~ドライブ~

この小説は西野亮廣作『夢幻鉄道』の二次創作です。

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「自動車学校に来る人はみんな通り過ぎるだけなんだよ。しょうがないと言えばそうなんだけど、俺はせっかく会えたんだから、もう少し仲良くなりたいんだよね」

いつも無邪気にからかってくる先生がしおれた声で話す。

 

ふと、その光景が呼び起こされた。

複数のことが同時にできないから運転は苦手だけど、自動車学校は好きだった。

 

 

先生がいたから。

 

 

先生とはいろんなことを話した。先生との時間はいつもあっという間だった。

 

あと、イケメンだった。

 

 

あっ!こんなこと考えてる暇なかった!

 

私は小説を100本書くことに挑戦している。

小説は今まで書いたことがない。

なんともクレイジーな挑戦だと我ながら思う。

 

 

こんな調子で本当に大丈夫なのかな?

 

 

天井を見上げる。

 

 

また先生に会いたい。

 

口からこぼれ落ちた。

 

 

すると、窓の外から強い光が差し込んできた。

 

何!?

 

窓の外を見てみると、なんと空中に列車が止まっている。

「お待たせいたしました。どうぞお乗りください」

車掌が四十五度でお辞儀をする。

 

気付いたら私はとび乗っていた。

 

 

私が降りた場所は、クレヨンで塗られた夜空の真ん中だった。立っている場所は、星たちが集まってできた道の上だった。

 

道の先に誰かが立っている。

 

「先生!?」

私は慌てて駆け寄る。

 

「夢の中まで来るとかストーカーなの?」

 

あぁ、先生の笑顔だ!

 

ん?

「ここって先生の夢の中なんですか?」

「そうだよ。じゃなきゃこの景色をどう説明すんの?まぁ、とにかく、さっさと乗って」

 

先生の後ろには教習車があった。

先生が助手席ということは……運転は私?

夢の中なら大丈夫……だよね?

 

私は乗り込み、慎重にアクセルを踏む。

 

よし、ちゃんと運転できてる。

 

運転といっても、他に車のいない一本道を走るだけである。

 

夜空の下星の道の上を、一台の教習車が走っている。

 

 

「私、悩んでることがあるんです」

運転しながら口を開いた。

 

「どうせ無茶なことにチャレンジして、折れそうなんだろ?」

「何で分かるんですか!?」

「変わってないからな、お前」

先生は笑みを含めて答えた。

 

先生にはお見通しだった。

 

 

ガゴン!!

 

急に車が止まった。

先生がブレーキを踏んだみたいだ。

 

 

「そのまんまがいいよ。挑戦してる一直線なお前が一番いい」

 

 

先生が目に強い光を宿して言った。

 

 

「さて、そろそろ起きる時間みたいだ」

私たちは車から降りた。

空がビリビリと破れ出した。

道の少し先に列車が止まっている。

 

私は、来たときとは違い、未来へ踏み出すように力強く列車に乗った。

 

くるりと先生の方に向き直した。

 

最後に先生が口を開いた。

「また運転にも挑戦したら?現実でも俺に会えるかもよ?」

 

あぁ、先生の笑顔だ!

 

 

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この小説は斎藤志帆さんとの雑談で生まれました。

斎藤志帆さんは株式会社NISHINOのインターンに向けて、『夢幻鉄道』の二次創作を100本書くという挑戦をしています。

よかったら、みなさんも彼女の応援をしてほしいです!

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